前回のファブスターターズガイドのレポートに続き、クリエイターの皆さんが実際に作られた作品を見ていきます。
<総評>
グループワークの筈でしたが、結果論から言うと皆さん一人一人作品を制作されて下さいました(!)とはいえ、とっても仲良さそうで羨ましかったー!!!
短い期間中に、
ファブカフェに何度も通って試作をしては、Facebookで共有して、やりとりして、何度もブラッシュアップしていくのは、スピード感があり、個人的にもとても楽しい経験でした。
デジタルファブリケーションの最大のメリットの一つ、“
ラピッドプロトタイピング”とか言うらしいのですが、素晴らしいですね。バルカナイズドファイバーは、レーザーカッターとの相性もいいので、商品の最終形に使う素材の一つとして、ポテンシャルが非常に高いと思います。
とてもクオリティーの高い作品群がでてきたので、今後どうにかして展開していけないもモノかと考えております。
私の思いつかないような、アイデアのあるかたはメッセージください♪
初めて素材を、どうやって自分の「心のスイッチ」の場面のアイテムにしていくか。
という点に、皆さん悩まれていました。その結果、
バルカナイズドファイバーの「素材特性」をどんどん発見して、消化して、形にした作品が出てきました
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では、実際に提出された作品を見ていきます。
●課題内容
「心のスッチを切り替えるインテリアアイテム」で、素材はバルカナイズドファイバーと椅子張り生地。
ファブマシーンはレーザーカッターと、パワフルミシン。
●当日、飴が入って回って来た器(小)
これは、バルカナイズドファイバーでしか出来ない構造ですね!しかも、美しい!!!
そしてツカエル。実際使えた!
細かいパターンで肉抜きすることで、面では出せないような小さなカーブを作り出しています。
また、素材特有の“張り感”を利用して“輪くぐり”させて留めています。くぐらせる場所によって、オモシロイ形が予想外に出てきそうなところも面白いですよね。
その形状の面白さを転用して、ネガポジの図形でシェードも制作されていました。
●眼鏡掛け
バルカの張り感を生かした作品。大きなレンズのもの、小さなレンズのものと複数重ねて掛けられるようになっています。ブレーメンの音楽隊を切り抜いているのがキャッチーです。
“細かいグラフィックの半立体”は、バルカ×レーザーカッターの得意コンボ技ですね☆
留めているネジの佇まいが非常にデザイン上、重要ですよね。そこがデザインのひとつのポイントかと思います。完成品ならリベット、組み立て式ならネジ。もしくは、展開図の工夫で部品いらない方法もあるかもしれません。個人的には金具があって、ぶらぶらしてる様子が好きです。
「ホッ」とする瞬間に“眼鏡をはずす行為”をピックアップした着眼点に非常に共感しました。
●鍵の特等席
組み立てる際にバルカらしい手応えを感じられる展開図が美しいですね。
日本の商品の梱包材って、海外でも高く評価されるほど精巧に出来ていると常々思っていましたが。それをバルカで作ると、素材感とぴったりでなんかお洒落。はがきの入っている方の、下部についた鍵用フック式のものが秀逸です。何も使わなくても、カチっと留るディテールにまで詰められているところに感心してしまいます。
カップ式のも、鍵やら小銭やらをお尻のポケットに入れてしまう男子には喜ばれそうです☆
●帽子&ストールハンガー
“軽くて”“何度も濡らせばカタチをかえられる”特徴を生かしきっています。
“エレガントな素材感”ストールや帽子を引き立てます。
明日のコーディネートに迷わなくて安心して眠りにつける、という着眼点にも非常に共感します。
お店のディスプレイ用品として提案してみてもいいかも。使わないときにたためるし。
●玄関の「ごちゃごちゃ」を隠すアイテム
バルカの厚みと素材感を生かして、きれいなグラフィックパターンを施して素直に作られています。
“細かいグラフィックの半立体”は、バルカ×レーザーカッターの得意コンボ技ですね☆
“ミニついたて”がカウンターにあったら、確かに便利かも!!!と思いました。ダイヤモンドのようなパターンの箱も素敵ですね。

これも同じ考えで作られたものですが、特徴的な「猫」モチーフを使った事で、違うもののような印象を受けます。基本的なサイズ感のある“ミニついたて”データに、何種類か好きなグラフィックを施せるサービスで商品に出来るかも♪

実は、これも同じコンセプトで作られたもの。素材に対する回答としては、先ほどの“眼鏡かけ”に通じますね。玄関を出る前、帰って来たときに「思い入れのある詩・言葉」が浮かび上がっているって素敵だと思いました。♡の形で甘めに仕上げっていますが、ご本人は「折って、留めたら、素直な形としてハートになった」とのことw
●ツタ性の植物の絡む場所
バルカの張り感と軽さをいかしています。先の方についているのは紙製の袋で「つる性植物の種」が入ってます。植物が生長すると、重みでバルカの形も伸びていく、というアナログインタラクティブな発想が面白い。
植物をインテリアに取り込む際に、高さを出すって難しいですよね。空間に浮かすように配置する、軽いものとしてエアープランツも人気がありますが、他にも欲しい!!!なんて思っていた方へのニーズに合った作品。
●湯気で、花弁が開くようにバルカが動くんです。「お茶のおとも」
アナログインタラクティブな発想と言う点で共通するのがコチラの作品。ティーバッグの「蒸らし」に薄手のバルカナイズドファイバーで作った、お花のような形状のものを載せると、湯気をすってお花のように開きます。お皿の用にふちもあがるので液垂れせずに破棄できる。(バルカはエコ素材です)ってのが良いですよねー。
●トイレットペーパーホルダー
リビングなんかで、ティッシュ代わりにトイレットペーパーを置くケースとのこと。きれいなグラフィックパターンで肉抜きした「フンワリ部分」と、コルセット的な留め方がイイ! フンワリ、きゅっとしたバルカでしか出来ない形状です。この作品は、最終的に色づけしてあります。というのも、白バルカはレーザーの焦げが目立つため、お部屋に合うようにスプレーを書けたとの事。不思議な素材感になっていますが、この「レーザーで切った後の処理」によっては、アイテムっていかようにも変化していく事が出来る可能性を示唆しています。
●インテラクティブウォールアート
バルカナイズドファイバーの張り、絶縁体、である素材特性を用いたインタラクティブアート作品。
ファブスターターズガイド第5回の「灯りとわたしとインタラクション」の課題への回答の素材としても用いられています。
“自分の側に課題を引き寄せる力”で、その結果、課題を出している側の創造を超える。ってクリエイターの重要なスキルですよね!
クッションの内部に、カーブさせたバルカでスイッチを押すようになっています。(違ってたらごめんなさい)カーブによって、複雑なニュアンスのある押され方をした入力装置のアウトプットが、壁の樹です。樹の葉っぱもバルカで出来ていて、LEDの光を優しく拡散させています。写真内で、私が背もたれに使っているクッションが入装置です。
●「モンスターマガジンラック」
いろんな形の切り込みがあります。保存用の書籍は横倒しにはさみ、よく閲覧する最新版はとりやすいように縦置きだと聞いていました。「糸のステッチの太さがもっと太い方がチャーミングかも」と講評会で申し上げたところ、何と改良した物を作ってくださいました(!)すごい、我が家に馴染んでいます。使ってみると、ことのほか横倒しのモノも見やすくて、使い勝手が良いです♪ 普通に、ツカエル!!!これもよく考えられた展開図をしていて、雑誌が入っていないときの表情が「モンスター」っぽいのが特徴です。パッケージにモンスターの顔があってもキャッチーで良いかもしれません。
●すでにインテリアアイテムではない気も・・・でも!面白そう。何なのこれ?
バルカの張り感、それからプリントとも相性がいい、素材特性を生かした作品。もはや、インテリアとか無視ですね、でも良いんです。こういう新しい素材があるらしいんですよ。ナノテクの分野で発見されたばかりの、様々に形状を帰られるポテンシャルの高い素材なんですって!そのモデル。実際に「ぺこぺこ」しているらしく、複雑形状を体感できるようなキットを作ってくださいました。日本未来館でもワークショップをされているそうです。永遠に連続する、オリジナルイラストが施されています。
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元々はCDラックを作ろうと思っていた。が、派生してできた「ハシゴ」が、様々な文房具にできる遊びを思いついてしまい、遊んでいたら、、色々出来た!!!
本当に何度も試作を重ねて、なかなかいいCDラックになったってのに、派生したハシゴ型のキットを水に濡らして曲げたり留めたりしているうちに、ペンホルダーやら色々出来たしまったとの事。バルカの色んな形に変化する特性と、素材の魅力を生かした作品。既製品で揃えると、ワンルームに様々な素材が点在しがちですが、同じ素材で色々なアイテムがあり、しかも作る楽しさもあるって良いですよね。サジェスチョンする組み立て方を何通りかと、様々なサイズのデータ販売なんかしても良さそうです・
*作品の著作権は、各デザイナーに属します。
安易な模倣、断りのない商品開発等に用いられないよう、心よりお願いたします。

次回記事では、皆さんの楽しそうな様子に触発されて、第5回目講師の
MATHRAXさんと共同講師作品を作った事を書きます♪
協力企業:
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北越紀州製紙株式会社
●
アイシン精密株式会社
●株式会社竹尾
お知らせ:
●オールアバウトのインテリアガイドを勤めております。
プロフィールは
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