10年ぶりの照明デザイン奮闘記・その9-@洗足カフェ(作品集no.3)
迷わずにグレーを選び、ペンをむんずと掴んで一心不乱に描き続ける2歳の男の子。
みなぎる創作意欲。
5分で終了(!)「やりきった感」にあふれて、部屋の隅っこで熟睡するという大物っぷり。
こういう「子どもらしい」迷いない感じって、大人にはまぶしいですよね。
でも、
「子どもらしさ」って幻想だと思うんです。
「こだわりポイント」がみんな違って、すごい集中力をディテールで使い切っちゃったり・・・この時点でお母様は「あー、男子は細かいトコから攻めてくからねー」と苦笑い。
でも、ハネをカットするとかっこよくなるかも~なんて聞こえるように言うと、思いつきもしない斬新なカットを加えたおかげで、最初の「縁日のラムネの型抜きレベル」で刻んだ針の穴からもれる光との対象が面白い作品になりました。
意外と子どもって、親に気を使うというか・・・お母さんが「天井吊りにして使うと思う」とお話されたのを聞いていたのか、
なんとなく内側だけに絵を描いて「おわりにする」と言ってきたけど、「もし、壁を照らしたくなったらそのときはどうしようか?」と聞くと、
ナニカのスイッチが入ったかのようにシェードの外側に描いた絵の力強いこと。
どんな風に使っても、お気に入りになってよかったね。
もう少し素敵にしたいけど、どうしたらいいのかよく分からない子にも
お話して、バラをつけてみるのことも出来るよ、とアドバイスしてくれているSIさん。やっぱりセンスいいなー。
パステルとオイルパステルを、羽ごとに同系色で、まとめているあたりにセンスを感じます。お母様から夜頂いたメールでは、「家族みんなでランプを囲んで過ごしてくれた」とのこと。すごく気に入ってくれたんですね、ご家族に自慢したくなるような作品作りをしてもらえたこと、それがとても嬉しいです。
・・・一方で明確なビジョンをもって作品に取り組む子もいます。
外はパステルで虹色なんだけれど・・・内側に「黒く塗りつぶされた人間」だけが5人描かれているだけで「出来た」と満足そうに報告に来た小学生の女の子。
「オーロラの中に立っている、うちの家族」なんですって!
「点灯すると、内側に描いたオイルパステルの絵が浮かび上がる」と何気なく見せたサンプルで、ここまで明確に作品作りに生かすとは!!!脱帽です。
内側に金魚を、外側に金魚鉢や水面を描いたサンプルを見て「透け」を見ているお母様。今日は保護者だけど、ご自身も作りたいっとのこと。嬉しい限りです・笑
子供も「子供の事情」で悩み、手を動かしながら「考えて」作品作りをするから、完成品への思いもひとしおで、毎日の生活の片隅にプロダクトを「仲間入り」させてくれるような気がします。
そばで見ていてハラハラされる親御さんの気持ちに「強いシンパシー」を感じながらも、(自分の子供のモチベーションにはいつもハラハラさせられている親の一人です、私も。)できれば、一歩ひいた「科学する目」で観察して、必要ならお声がけや援助をしながら「今のお子さんのお気に入り」を一緒に引き出せてあげられたらいいな~と思って取り組まさせていただいております。
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●土橋陽子の活動●
夏休みに、子供向けのワークショップを開催しております。
10年ぶりのデザインになる、紙(バルカナイズドファイバー)で照明を作ります。
おかげさまで、ほとんどのクラスは定員に達しました。現在、24日(金)14:30~のクラスのみ、参加者募集しております!!!
お申し込みはイデーHPよりお願いいたします。
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by dobashiyoko
| 2012-08-18 01:13
| 照明